東芝デジタルエンジニアリング株式会社

自治体向け決裁ワークフローの電子化 ~デジタル化の壁を乗り越える~

自治体の文書管理規程を順守した
ワークフロー電子化サービスで自治体DXを加速
自治体向け決裁ワークフローの電子化

デジタル庁が発足し、行政サービスのデジタル化が急速に進む今、自治体にもDX(デジタルトランスフォーメーション)の波が押し寄せています。
一方で、人口減少による職員の確保難は深刻です。限られたリソースで住民サービスの質を維持・向上させるには、業務効率化、とりわけ庁内文書のデジタル化が不可欠です。

しかし、長年にわたり法律で定められた文書管理規程に従って運用されてきた起案文書や稟議書は、なぜかデジタル化の「最後の壁」として残っていませんか?

東芝デジタルエンジニアリングは、その「壁」を乗り越え、職員の皆様が本来の業務に集中できる環境づくりを支援します。

1. 自治体職員が直面している起案文書のデジタル化が進まない理由

自治体職員が直面している大きな壁

自治体における稟議書などのワークフロー電子化が進まない背景には、単なる慣習ではなく、自治体特有の厳格な法令、複雑な規程、そして深刻なリソース不足が複合的に絡み合っています。

職員の皆様が紙の回付・押印から脱却できない主な要因は、以下の3つの壁に集約されます。

① 法令・規程の壁(自治体特有の複雑性)

  • 文書管理規程の複雑さと厳格さ
    公文書は「住民共有の知的資源」であり、公文書管理法の趣旨に基づいた各自治体の条例や規程が非常に厳格です。文書の種類ごとの保存期間、廃棄ルール、改ざん防止の要件が細かく、既製のワークフローパッケージに備わっている標準機能だけでは、このような複雑なルールには対応しきれないケースが少なくありません。
  • 根強い押印文化と形式的正当性
    法令や内部規程、あるいは長年の慣習により、特に予算や契約などの重要な決裁では、首長の押印や公印が物理的に必須とされてきました。「形式的な正当性」の確保のため、電子決裁後も一部の書類だけが紙で出力され回付される運用が残りがちです。
  • 電子署名・公印管理の法規整備の遅れ
    電子決裁を完全に成立させるための電子署名や公印管理の仕組み、およびそれを支える法規の見直しが、一部の自治体ではいまだ追いついていない現実があります。

② 運用の壁(慣習と負担)

  • 「とりあえず紙」からの脱却の困難さ
    長年の紙による運用で業務フローが確立しており、「電子化のメリット」よりも「フロー変更の手間やミスへの懸念」が職員間で先行しがちです。
  • システム間の連携不足による「紙の出口」
    自治体は自製開発されたシステムが多く、財務会計や人事給与など、稟議書が関わる基幹システムとのデータ連携がスムーズに行えていません。このため、最終的な帳票出力やデータ入力のために、結局どこかで紙を介さなければならない運用が残ってしまいます。
  • ITリテラシーの差と研修負担
    全職員が新しいシステムを使いこなせるようになるための教育コストや、職員間のITリテラシーのばらつきへの対応が、導入担当部署にとって大きな負担となっています。

③ 組織・リソースの壁

  • 深刻な導入・開発リソースの不足
    自治体は、職員の数が少なく、特にデジタル化推進を担う専門人材(DX人材)が不足しています。システム導入後の運用ルール策定やカスタム開発を庁内で行うことが難しく、外部への依存を余儀なくされています。また、このリソース不足は、テレワークや在宅勤務といった職員の柔軟な働き方の推進の遅れにも直結しています。
  • 「住民サービス優先」による庁内DXの停滞
    国やデジタル庁からの指導でDXの必要性は認識しているものの、既存業務の維持に手一杯で、新たな施策を迅速に実行するための予算や人員の確保が難しい現実があります。
    特にマイナンバーを利用した住民サービス向上へリソースがとられ、庁内起案書・申請書などの決裁ワークフローのDX推進が進んでいない状況です。

自治体DXの「デジタル化の壁」を一緒に乗り越えませんか?
まずはお気軽にご相談ください。

2. 文書のデジタル化、ワークフロー電子化の必要性

文書のデジタル化、ワークフロー電子化

ワークフローの電子化は、もはや「あれば便利」なツールではなく、自治体の存続と住民サービス維持のために不可欠な最重要経営課題です。紙の壁を乗り越えることで、以下のような変革が実現します。

① 職員の生産性向上と負担軽減

  • コア業務への集中
    紙の回付待ち、手渡し、保管場所の確保、そして文書の煩雑な検索にかけていた「ムダな時間」を徹底的に削減します。これにより、職員は本来の使命である住民サービスの企画・向上といったコア業務に集中できるようになります。
  • 意思決定の劇的な迅速化
    「決裁が今どこにあるか分からない」「回付に時間がかかる」という紙ワークフロー特有の課題を解消します。決裁の進捗状況をリアルタイムで可視化することで、迅速な行政サービス提供とスピーディな政策決定を可能にします。

② 組織のガバナンスとコンプライアンス強化

  • 行政の説明責任の確保
    文書を電子的に管理することで、管理規程で決められた保管ルールや適切な廃棄処理の履歴が確実にシステム上に残ります。これにより、将来的な情報公開請求や監査対応がスムーズになり、行政の説明責任を強化します。
  • セキュリティと内部統制の向上
    紙の紛失・盗難リスクをなくし、電子化によって職制ごとのアクセス権を厳密に設定し、書類の追跡を可能にします。これはガバナンスの強化に直結します。

③ 経営資源の有効活用と働き方改革

  • 経営コストの最適化
    紙代、印刷代、郵送費だけでなく、文書を保管するための物理的なスペース(土地・建物)を大幅に削減します。削減されたコストとリソースは、住民サービス向上への「未来への投資」へと振り向けられます。
  • 柔軟な働き方の実現(BCP対策)
    紙の物理的な制約から解放され、職員が場所を選ばずに在宅勤務できる環境が整備されます。これは働き方改革を推進するだけでなく、災害時や感染症発生時にも業務を継続できる事業継続計画(BCP)の強化につながります。

④ 住民サービスのデジタル化との整合性

  • デジタル行政の実現
    マイナンバー利用促進により住民向けのオンライン申請が進む中で、庁内ワークフローが紙のままでは、住民サービスと行政内部のデジタルレベルに大きな矛盾が生じます。内部の電子化は、「書かせない、待たせない」真のデジタル行政を実現するための大前提です。

3. 電子化を推進するための手段:3つの側面からのアプローチ

電子化を推進する3つの側面からのアプローチ

稟議書ワークフローの電子化を成功させるには、単にシステムを入れるだけでなく、制度と人、そして技術の三位一体での取り組みが必要です。以下の3つの側面から、実行すべき手段をご提案します。

① システム・技術的な手段:「公文書」の厳格な要件を満たす

  • 「自治体特化型」のワークフロー導入
    公文書のライフサイクル管理や複雑な決裁ルート(並列承認、合議など)に標準で対応できる、自治体向けパッケージを選定することで、基本的な要件をカバーします。
  • アドオン開発による規程への適合
    市販パッケージで対応できない文書管理規程の特定のルール(例:自動採番ルール、電子公印付与、移管・廃棄プロセス)について、パッケージに影響を与えないアドオン開発による短期導入でシステムの適合性を法的要件レベルまで引き上げます。
  • 既存システムとの連携強化
    財務会計、人事、庶務システムなど、関連する基幹システムとの連携インターフェースを構築します。データ連動を自動化することで、手作業による二重入力を徹底的に排除します。

② 制度・運用的な手段:「紙ありき」の規定を「電子ありき」へ

  • 先行的な規程の見直し
    電子化を前提とした公文書管理規程、会計規則、文書取扱要領など、関連する規則や条例を電子化の運用に合わせて先に改正します。「紙ありき」の前提を根本から覆し、新しい運用を定義します。
  • 電子署名・電子公印の積極的な活用
    紙の押印が必須とされてきた決裁について、電子署名や電子公印の法的効力を担保し、運用を定着させます。これにより、真のペーパーレス決裁を可能にします。
  • 段階的な導入と成功モデルの構築
    全庁一斉導入のリスクを避け、比較的シンプルな庶務事務や特定部署から電子化を開始します。成功事例を庁内に水平展開することで、職員の抵抗感を抑え、スムーズな移行を促します。

③ 人材・文化的な手段:組織を動かす推進力

  • DX推進体制の強化と役割明確化
    庁内にDXを強力に推進する専門部署やプロジェクトチームを設置。システム部門だけでなく、総務部門や業務部門からもリーダーを参画させ、全庁的な取り組みとします。
  • 外部ベンダーとの「伴走型」協働体制
    システム導入だけでなく、規程の見直しや業務フローの再構築の段階から、自治体の実情を理解した外部ベンダーと協力する「伴走型支援」を活用し、庁内のリソース不足を補います。

自治体DXの「デジタル化の壁」を一緒に乗り越えませんか?
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4. ワークフローパッケージ+自治体機能アドオンで自治体DXを加速

ワークフローパッケージ+自治体機能アドオンで自治体DXを加速

市販の汎用ワークフローパッケージでは、厳格な公文書管理規程の壁を完全に超えることはできません。そこで東芝デジタルエンジニアリングは、拡張性に優れたワークフローパッケージ「AgileWorks」を基盤に、自治体特有の機能に特化したアドオン開発を組み合わせたソリューションを提供します。

お客様に伴走し、自治体ワークフローを「業務効率化ツール」から「公文書管理を順守するDX基盤」へと進化させます。

拡張性に優れたワークフローパッケージ「AgileWorks」を基盤に、自治体特有の機能に特化したアドオン開発を組み合わせたソリューションを提供します
既存システムと連携してスムーズな情報共有を実現

パッケージの柔軟性 + 自治体の厳格さ = 短期かつ確実な導入

特長①
自治体特有の要件を熟知した開発力
Good-Point
他社パッケージで「ここまでが限界」と諦めていた細かな管理規程(複雑な自動採番、特定の合議ルート、公印の要件など)にも、オーダーメイドのアドオン開発で確実に対応します。フルスクラッチではなくパッケージ+アドオンのため、短期間での導入とコスト効率を両立できます。
特長②
「公文書」のライフサイクル全体を管理
Good-Point
起案、承認といった日常業務のデジタル化だけでなく、自治体独自の保存期間設定や適切な廃棄処理の自動化まで、行政文書の全工程をシステムでサポート。規程順守の不安を解消します。
特長③
スムーズな定着支援で利用率100%へ
Good-Point
新しいシステムへの移行に抵抗がある職員の方々にも寄り添い、マニュアルに頼らない操作指導やフォローアップを実施。確実な利用定着までをサポートし、「形だけの電子化」で終わらせません。
特長④
堅牢なセキュリティ対策の同時実現
Good-Point
セキュリティ・インフラ専門組織との連携により、ネットワーク接続環境における強固なセキュリティ要件を満たすインフラ構築も同時に行います。データ保護と行政運営の継続性に貢献します。

5. 導入事例

公共団体
「AgileWorks」に自治体特有機能をアドオンで短期導入を実現!

利用規模 起案書・稟議書作成ユーザー:約2,000名
開発期間 約9か月間
主な導入システム AgileWorks(ワークフローシステム)
連携システム グループウェア、人事管理システム、財務管理システム
課題・導入目的・背景
課題・導入目的・背景
  • 紙運用の限界
    紙による雑な保管、決裁文書の回付時間長期化、決裁の進捗が不明瞭といった課題が露呈し、全庁的な電子決裁ワークフローの導入による解決が急務だった。
  • 規程順守とパッケージのジレンマ
    早期導入のためにパッケージ採用を検討していたが、厳格な文書管理規程に沿った業務運用を実現するため、カスタマイズ(アドオン)が可能な柔軟なパッケージを探していた。
  • 決裁後の業務円滑化
    決裁を電子化するだけでなく、財務管理システムとのデータ連携を通じて、決裁後の後続業務も円滑に対応できるようにしたいという目的があった。
導入内容・導入効果
>導入内容・導入効果
  • 導入成果
    ワークフローの可視化により、決裁業務の回付時間が大幅に短縮され、全庁的な効率化が実現した。
  • 利用定着
    文書管理規程に沿った使いやすいシステムが短期間で導入できたことで、職員の利用率も高く定着している。今後も対象書類を拡大し、真のペーパーレス化を目指す。
  • カスタム対応(アドオン開発機能)
    厳格な公文書管理を支援する発番、廃棄、下書き作成、決裁データ送信、アーカイビング機能などを開発し、自治体業務の「かゆいところ」に手が届く運用を実現した。
  • 初期構築実績
    初期構築書類:18種類、初期構築ワークフロー:14回付ルール
    ドラッグ&ドロップによるノーコード開発でお客様自身による書類のレイアウト作成やワークフロー定義が可能になった。

自治体特有の複雑な規程や長年の文化的な慣習に阻まれ、
稟議書の電子化をあきらめていませんか?

貴社の現状と規程を深く理解し、
AgileWorksとアドオン開発を組み合わせた最適解をご提案します。