事例紹介
CoPaTis 導入事例 「株式会社三興段ボール様」
段ボール製造業に特化した統合型基幹システムの導入で 競争力強化と業務効率化を両立
導入ソリューション:段ボール製造業専用 総合基幹システム 「CoPaTis®」
株式会社三興段ボールの設立は、1961年10月。以来、段ボール製造販売の専業一貫メーカーとして歴史を積み重ねてきた。現在は、本社である相模工場と千葉工場の2拠点で、それぞれ種類が違う個別の生産を行っている。同社は、小ロット・多品種の製品を短納期で納品する競争力を強化するために、段ボール製造業向け統合基幹システム「CoPaTis® (コパティス)」を導入した。これにより、製造・営業・総務など多様な領域の業務効率化とともに、コスト削減や環境負荷の低減、従業員定着率の向上などを実現した。
課題
- 工程別に異なるシステムが稼働し業務が複雑だった
- 納期や数量の変更に多くの人手と手順が必要だった
- 各工程での作業が属人化してしまい、業務負荷の平準化が困難だった
- 製造現場と業務システムの連携による効率化が必須だった
解決
- 製販在の一元管理により作業の属人化排除
- 使いやすい画面操作でワークシェアリングを実現、社員定着率も向上
- システム化による入力時チェックで受注ミスによるロス約30%削減
- 柔軟なカスタマイズ性で市場の変化による業務の変更にも対応
<部門別> CoPaTis 導入前の課題と導入による効果
製造
- before
操作が複雑で生産性に限界が - 旧システムの操作方法が複雑で専任者に業務負荷が集中していた。
- after
ワークシェアリングが実現 - システムの操作が直感的なので、一人の担当者で複数の工程の操作に対応できるようになり、互いの作業をバックアップする余裕が生まれた。
営業
- before
即時対応が高負荷の原因に - 小ロット・多品種・短納期実現のため、専任担当しかできない即時対応業務が継続して高負荷状態に。
- after
部門の壁を越え負荷を軽減 - 製品単価、製造仕様書などの注文情報を専任担当者以外も確認可能に。専任担当者の高負荷状態が解消し、お客様への回答もスピードアップ。
総務
- before
入出力の二度手間で残業が増加 - Fax文書のデータを再入力するなどの作業負担が大きかった。
- after
紙作業解消で残業時間短縮 - 指定伝票の打ちだし、請求書・領収書の発行などの業務が効率化されたことで、残業時間が短縮。
発送
- before
配車業務が煩雑で負担増に - 熟練社員による配車予測と、配車の組み直し業務が日々の負担になっていた。
- after
配車業務の半自動化を実現 - 紙の伝票を組み合わせて行う複雑な業務や、配車予定表を手書きする業務を電子化。配車に関する業務は、画面上の操作で完結するように。
BCP
- before
事業継続対策に一抹の不安も - 本社内の物理サーバーを千葉工場と共用することには災害時の不安も。
- after
クラウド化でBCP対策強化 - 基幹システムのサーバーはクラウドを活用。災害等に対するBCP対策も大きく前進し、データバックアップ等のメンテナンス作業も不要に。
人事
- before
働き方の改革が進まない - 特定業務に負荷が偏り離職者増、業務引き継ぎもスムーズにできない。
- after
離職率減と有給取得率向上 - Windowsライクな画面デザインで誰もが扱えるシステムに。担当者ごとの負担を平準化でき、働き方にゆとりが生まれ、社員定着率が飛躍的に向上。
CoPaTis 導入の経緯
きっかけは既存システムのサポート終了
背景には小ロット・短納期の推進と残業の増加も
システム導入のきっかけは、既存システムのOSサポートの終了だった。しかし背景には、もう一つ理由があった。既存システム運用には習熟が必要で、社員の負荷が大きかったからだ。
「小ロット・短納期をさらに推進するためにも、段ボール製造に特化したシステムへの刷新が必要でした。」(鶴岡 健史 事業本部長)
システム選定で重視したことは「サポート力」と「柔軟性」
「基幹システムは、導入後も長年使い続けるシステムです。そのため、システムの機能や操作性はもとより、市場の変化に応じてカスタマイズできることや、しっかりとしたサポートが期待できることを重視しました。ひとことで言うと永続性と安心感です。その点、東芝ブランドの信頼性は大きな決め手でした。」(鶴岡様)
一般に、パッケージソフトはカスタマイズの自由度が低いと評価されがちだ。しかし、CoPaTisには多様なテンプレートが用意されていて発展性が確保できること、その上でカスタマイズの自由度が高いことも評価された。
実際の運用現場でインターフェースの良さを実感し導入を最終決定
「取引のある関西の同業者が CoPaTisを活用していることを知り、見学に行きました。この会社では、東芝デジタルエンジニアリングのサポート体制を評価しており、業務の変化に合わせてシステムを変化していける柔軟性は私たちの使い方にあっていると思いました。インターフェースも良く、社員もすぐになじむと直感しました。」(小川 文平 総務部次長)
CoPaTis 導入後の効果
働き方にゆとりが生まれ
受注ミスによるロスも約30%削減
「属人化が進み、他の人が関わることのできなかった作業から、一人が複数の工程に容易に関われる標準化された作業となったことで、社員の負担を平準化できました。深夜の残業や休日出勤でこなしていた作業が、ワークシェアリングによって遅くても19時には退社できるように。余裕を持って仕事のできる環境を作れたことはうれしく思っています。」(鶴岡様)
類似製品は製品番号も似通っており、受注ミスも起きていたが、システム化で入力時に過去の受注履歴などを見てチェックできるようになり、ミスが大幅に減少した。当然、物や時間のロスが減り、環境負荷の低減もできている。
「導入効果や信頼性を考えると、非常に理想的なコストパフォーマンスでシステム導入ができたと思います。」(小川様)
システム導入のポイントは"チームワーク"
「システム刷新にあたっては、関係部門から選抜した人間でプロジェクトチームを立上げ、システムの導入効果目標や機能・操作画面等を話し合いながら進めました。システムを導入し、業務に活かすためには担当者だけではなく、関係者で同じ目的を持ち、経験にもとづく知恵を出し合いながら進める必要があると考えたからです。
プロジェクトチーム一体となってシステム導入にあたったことで、今では当社の業務に欠かせないシステムになっています。」(鶴岡様)
受注から貼合、製函、現場端末、在庫、出荷までを簡単な操作で一元管理
CoPaTis導入で達成した業務改革
追加取材
2020年11月の相模工場、千葉工場へのCoPaTis導入から3年が経ち、達成できた業務改革は、働き方改革だけではない。
SDGs、DXといった大きな副次効果により、企業価値を高めることに成功している。
※2023年8月に取材した内容をもとに構成しています。
システムの導入により真の働き方改革を実現
システムの導入により操作性の統一および情報の一元化が図られ、属人化が排除されることにより、ワークシェアリングが可能となった。
「システムで実行できないことはしない、つまり独自なルールは作らず共通ルールに従うようにすることで属人化を防いでいます。操作もアイコンベースでわかりやすくなりました。」(鶴岡様)
<具体的な働き方改革の成果>
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残業時間
1日あたり 2時間短縮 - 属人化を排し、業務が平準化されたことで作業の効率化が図られた
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有給休暇取得率
43%に向上 - ワークシェアリングが実現でき、有給休暇を取得しても業務が止まることはないため、急な休みで同僚に迷惑をかけてしまうかもという精神的負担がなくなった
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離職者ゼロ
- 優秀な人材が業務に疲弊して退職することがなくなった
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産後復職率100%
- 優秀な人材が業務に疲弊して退職することがなくなった
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採用面での
メリット - SDGsなど先進的な会社の取り組みを見て就職希望者も増加
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「事務所内では働き方改革が進んだので、製造現場でも機械の稼働にサブメンバーを付けるなどでワークシェアリングを進めています。」(鶴岡様)
社員の意識と企業価値を高めるSDGs推進
三興段ボールはSDGsへの取り組みとして「働きやすく社員が能力を発揮できる職場環境」を掲げている。システムの導入により、実際に作業負担の軽減や効率化が進んだ。
「システム導入時は、各部署からの個別要望は受けず全社で決めた運用ルールを変えないことを徹底しました。その結果、属人性の排除が実現でき、どの社員も能力を発揮できるようになりました。」(鶴岡様)
SDGs推進と言っても、特別そのために新しいことをやったわけではなく、システムを導入してできるようになったことをSDGsの観点に当てはめていった。
「社内の環境を変えることは重要です。まずは管理職にSDGsについての理解を深め、承認を得ました。社員にはポスターの掲示、朝礼などで浸透をはかり、風土を作っていきました。特に若い社員には賛同を得られていると感じています。」(鶴岡様)
SDGsへの取り組みをWebサイトなどで公開することで、社員が会社の価値向上を感じるだけではなく、企業ブランディングやリクルートにも効果が出ている。
FSC認証取得を大きな作業負担なく実現
もともと段ボールはリサイクル率が高くエコだが、環境問題への危機意識の高まりから、大手企業ではFSC認証(※)の取得が進んでいる。
「当社でも顧客からの認証取得の要望が多いため、検討を進めてきました。FSC認証は加工・流通過程も審査の対象となるため、今後認証取得は必要と判断しました。」(鶴岡様)
運用方法を検討したところ、システムで対応が可能であることがわかった。
「不適格な原材料が混入していないか製品ごとに原料管理をしなければならず、報告用の書類を作成する手間をどう解消しようかと思っていましたが、東芝デジタルエンジニアリングに相談したところ、簡単なシステム変更でFSC認証に必要な書類作成や印字ができますよ、と提案がありました。現場の作業負担を増やすことなく実施することができそうで安心しています。」(鶴岡様)
営業から製造現場までの企業DX推進
三興段ボールでは、第一に「アナログ情報のデジタル化」を目指して、基幹システムの刷新を実施した。その結果「業務改革」が実現し、働き方改革の実現、作業ミスの減少、配車業務の半自動化、顧客満足度の向上といった成果があった。
そこからさらに「ビジネス改革」を進め、職場風土の改革、人材不足対策、企業価値の最大化などシステムの導入をきっかけに、DX推進を大きく進めることができている。
「まだ道半ばといえます。製造現場では機械化が進んでいるものの、どうしても職人技に頼る部分が5%程度は残ります。紙を扱っているので、温度、湿度、音などの細かい調整は機械ではできません。逆に95%をデジタル化し、製造現場とシステムの連携を図ることで、営業までの一貫した企業DXをさらに推進したいと考えます。」(鶴岡様)
例えば、営業が持ち歩くタブレットで製造の状況がわかれば、受注から納品までスムーズに進めることができる。
「とはいえ、少しアナログを残すことによって、顧客への臨機応変な対応をすることができている点は、全てがシステム化されている大手企業にはできない強みとも言えます。」(鶴岡様)
DXは重要だが基本は「人」。システムの導入により、社員の意識も変わった。
「当社は100%お客様からの受注で成り立つ会社ですので、ゆとりができた部分は、よりお客様に目を向けていってほしいと思っています。」(鶴岡様)
顧客情報
商号 | 株式会社三興段ボール |
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所在地 | 神奈川県綾瀬市早川2647-1 |
設立 | 1961年(昭和36年)10月 |
資本金 | 4億5,900万円 |
事業内容 |
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導入プロダクト |