東芝デジタルエンジニアリング株式会社

事例紹介

TQSPassport Reception 導入事例 「株式会社クボタ 筑波工場」

効率性とセキュリティに課題のあった保安室での受付業務をQRコード受付で解決

TQSPassport Reception 導入事例 「株式会社クボタ 筑波工場」

導入ソリューション:訪問者受付管理システム「TQSPassport® Reception」

株式会社クボタは、DXによってモノづくりに新しい風を吹きこむことをコンセプトに、ITシステムの積極的な導入で製造現場の変革を進め、より生産性の高い環境の実現に取り組んでいる。
筑波工場では、1日300~400人前後の来訪者を受け入れているが、その入退場を管理する業務において、効率化や負荷削減、さらにセキュリティの面でも改善の必要性が高まっていた。
そこで同工場の情報企画課では来訪者の受付を管理するシステムを導入し、課題解決に取り組んだ。

課題

  • 紙による受付管理に加え、コロナ禍で増えた消毒や検温により来訪者の受付待ち渋滞が発生、保安室の業務負荷も高くなりシステム導入が急務だった
  • 運送業者など事前予約なしの訪問者に対して正確な管理ができず、災害や事故発生リスクへの備えが必要だった

解決

  • 来訪予約時に発行されるQRコードで受付することで、1人あたり平均3分かかっていた受付時間が約30秒へと大幅に短縮、待ち渋滞の解消を実現
  • 非接触体温計による検温で保安室の業務も軽減し、本来の警備業務への集中が可能に
  • 予約なし訪問時でも保安室のタブレットで受付登録、すべての訪問者の入退場記録の把握が可能になり、セキュリティ管理の効果を実感

TQSPassport Reception 導入事例 「株式会社クボタ 筑波工場」 - 効率性とセキュリティに課題のあった保安室での受付業務をQRコード受付で解決

TQSPassport Reception 導入の背景

取引先・サプライヤーの受付を迅速化し、セキュリティやBCP対策も実現するシステムが必要だった
  • 紙で行っていた入構・退出時の受付業務の効率化
  • 来訪者情報や訪問先をデータで管理しセキュリティを徹底
  • 工場内の来訪者を把握して避難訓練時の点呼に活用
  • コロナ禍によって増えた消毒・検温などを含めた受付業務の迅速化

紙の入門票に記入すれば誰でも工場内に入れる状況では、入館者の正確な管理ができず、セキュリティ上の問題があった。またコロナ禍で入館時の手順が増えたため、入退場を管理する保安室の業務には負荷がかかり、受付待ちの渋滞を招いており、システムの導入は急務だった。

TQSPassport Reception 導入の経緯

保安室には受付待ち行列で渋滞が発生

1日300~400人前後の来訪者を工場正門で受け付ける業務は、効率化・負荷削減に加えてセキュリティの面からも改善の必要性が高まっていた。
「来訪者には受付時に紙の入門票に記入してもらい、管理もその紙で行う仕組みでした。そのため受付に時間と手間がかかっていたところ、コロナ禍により検温し体温や体調を記入する時間が加わったことから、受付待ちの行列がしばしば発生していたのです」(根小屋氏)。

記入や検温は受付対応の長時間化だけでなく、対応する側の業務負荷増加にもつながる。受付業務は正門の警備を担う保安室が担当していたが、受付の長時間化・煩雑化により、保安員のリスクも高まり、さらに本来の仕事である警備の妨げになっていた面もあった。
また、来訪者が記入した入門票は膨大な数となり、その管理の手間はもちろん保管場所も問題になっていた。入場時に来訪者の目的等のチェックも行っていたが、大量の紙を見て過去の来訪者をチェックするのは大変な作業であった。

さらに工場には運送業者など事前に予約をしない訪問者も多く、その正確な管理ができていなかった。これではセキュリティ面で懸念が生じる上、災害が発生した際に工場内にいる人間を把握できず、BCPの面でも問題と捉えていた。

情報企画課 課長 根小屋 裕一氏
情報企画課 課長 根小屋 裕一氏

セキュリティゲート連携を見据えて
アジャイル型で導入を進められるパートナーを選定

同社では受付業務の課題を解決するシステム探しをスタート。その結果、訪問者受付管理システム「TQSPassport Reception」の選定に至る。
「イメージしていたシステムとパンフレットで示されていた構成図がほぼ同じで、課題解決は標準機能のままで実現可能だと直感しました。それに加えて、カスタマイズが可能な点も大きなポイントでしたね」(芝山氏)。

ITパートナーとして東芝デジタルエンジニアリングを選んだ理由としては「見積時の反応も早く、クボタの基本的な考え方である"スピード重視で目的を達成し完成度を上げていく" という考え方に沿って進めてもらえると期待しました。」と根小屋氏は語る。

情報企画課 芝山 聡氏
情報企画課 芝山 聡氏

導入効果:1人あたり3分の受付時間が30秒へ

「TQSPassport Reception」の導入は2021年12月に開始し、2022年2月には早くも運用がスタートした。

「当社担当者が受付登録を行うことで来訪者ごとにQRコードが発行され、来訪者による入門票への記入が不要になります。来訪者は持参したQRコードを受付の端末にタッチするだけで、事前登録した会社名・担当者名や来訪目的などがシステム上で確認でき、あとは体温測定を行うだけで受付処理が完了します。1人あたり平均3分かかっていた受付時間は約30秒へと大幅に短縮しました。おかげで入退場を待つ行列が少なくなったことが、すぐに実感した効果ですね」(芝山氏)。

受付渋滞の解消と保安室側の業務軽減が実現したのは、芝山氏が話すように大きな成果だ。それだけでなく、システム化したことで入退場データの一元管理が実現でき、誰がいつ来訪したのかを後から確認したり、工場内に今、誰が入場しているのかを保安室で簡単に把握できるようになった点も、セキュリティやBCP対策の面から重要な効果だ。

来訪者の受付をする保安室にはQRコードリーダーと非接触体温計が設置されており、1人30秒で受付が完了する
来訪者の受付をする保安室にはQRコードリーダーと非接触体温計が設置されており、1人30秒で受付が完了する

また、工場では平日の生産活動を止めないようにするため、休日に生産設備の導入・改善等の工事を行うが、数十社に及ぶ工事業者にも以前は入門票を用いて入退場処理を行っていた。「TQSPassport Reception」導入後は、年間登録者としてQRコードを発行して管理するようになったことで、休日来訪者の受付円滑化に加えて、入退場データを一覧で把握することも可能になった。

「まずは標準機能でスピーディーに導入し、効果や運用の浸透を確認する中でカスタマイズと機能追加を行いながら、完成度を高めていこうと考えていました。例えば管理画面は保安員が確認しやすいようにカスタマイズを加えていますが、要望に応じ柔軟にカスタマイズしてもらえる点もありがたく感じています」(芝山氏)。

今後の展望:利用の浸透とBCP強化を目指す

このように様々な効果がすでに生まれているが、運用面では課題も出てきている。来訪予定を事前に登録するという運用がまだ十分に浸透しておらず、紙での運用を完全にはなくせていないのが現状だという。

「今後はより広く活用されるシステムにすることを目指し、利用の浸透につながる機能追加を進めていきたいと考えています」(芝山氏)。
事前登録されていない来訪者の情報も保安室に設置した受付用タブレットから即時に登録してQRコードを手軽に発行できる機能は、これから実運用のステップに入っていく段階とのことだ。来訪者の情報のデータ化による紙の廃止だけでなく、事前登録を促すための情報として活用することも考えていると芝山氏は語る。

DXに伴走するITパートナーとして、これからも期待を寄せる

受付における紙の運用をQRコード活用のITシステムに切り替え、入退場処理の業務円滑化とデータ管理の高度化に向けて動き始めた同社。

「今回のシステム導入の延長線上で、最終的にはセキュリティゲートと連動した人・車両の入退場管理システムの構築を目指しています。その最終的な目標まで、さらにはその他のDXの取り組みにおいても伴走してくれることを期待して、東芝デジタルエンジニアリングを選定したので、これからもいっそうの協力をお願いしたいと思います」(根小屋氏)。

受付における紙の運用をQR コード活用のIT システムに切り替え、入退場処理の業務円滑化とデータ管理の高度化に向けて動き始めた

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