事例紹介
SharePlex 導入事例 小売業 「株式会社マルトグループホールディングス様」
業務システムのディザスタリカバリ対策を短期間・高いコストパフォーマンスで実現
導入ソリューション:Oracle データベースの移行とレプリケーションツール「SharePlex」
福島県いわき市を中心に、スーパーマーケット (食料品)、くすり (医薬品/調剤薬局) や総合衣料など、多岐にわたる事業を行っている株式会社マルトグループホールディングス (以下、マルト)。 準基幹系システムのデータをリアルタイムに複製することで、万が一の場合も即座にアクセス先を切り替えて事業を継続することが可能なディザスタリカバリ対策として「SharePlex」を採用することを決定。
課題
自然災害等万が一の場合も、業務を止めることなく地域のライフラインを守ることが当社の使命と誇りであり、そのための仕組みを早急に構築する必要があった。
解決
複製元から複製先へほぼリアルタイムにデータを複製することが可能なレプリケーションソフトウェア「SharePlex」を導入することにより、万が一の場合も事業を継続することが可能となり、且つ短期間で構築することができた。
導入の背景
自然災害の脅威からのデータ保護対策
マルトでは、基幹系システムで POS データの管理を、準基幹系システムで財務管理および人事給与システムを運用している。基幹系システムは外部データセンターにデータ保護を任せているが、準基幹系システムは社内のサーバールームで運用を行っており、Oracle データベースから同室内の他の SQL サーバーに、日次の夜間スケジュールによるコピー等を行っていた。
東北地方においては過去に何度か震災があり、そのたびに準基幹系のデータのディザスタリカバリ対策について話し合った時期があったが、社内の会議にてコンセンサスを得られないでいた。
そのような状況の中、2011年3月11日に東日本大震災が発生。マルトでは幸い建屋自体は壊れず、停電もそれほど長期化することがなかったため、サーバーに対する影響はなかった。しかし、本社の老朽化もあり移転が検討され、システム更新によるパフォーマンス向上と併せてデータ保護の必要について見直すこととなった。このたびの震災を教訓に、バックアップの重要性を役員同士で痛感したことがきっかけになっている。
万が一の際の運用時における課題
ユーザー自身による事業継続の実現性
万が一の際、状況によってはベンダーやシステムインテグレータの協力が得られないかもしれないことが十分に考えられ、そのため自社の力だけで復旧が可能であることがソフトウェア選定における必要最低限の条件であった。
様々なメーカーから新しいデータ保護の仕組みについて提案があったが、いずれもデータそのものは保護できるものの災害時にはシステムやプログラム環境等の再構築が必要であったり、システム自体のリカバリーは別途実施しなければいけない提案ばかりであった。
導入のポイント
ほぼリアルタイムにデータをバックアップする仕組みを短期間で構築
そこで、クラスター構成の待機系サーバーに対し、データをリアルタイムで複製できるような提案を受けるべく調査していたところ、デル・ソフトウェアのパートナー企業である東芝情報システムより「SharePlex」の提案があった。
「SharePlex」は独自のリアルタイムレプリケーション技術により、複製元のデータが更新された際にほぼリアルタイムに複製先にも更新内容が反映され、複製元と複製先で常に同じデータを保つことができるソフトウェアである。
「従来方式のバックアップでは、特に Oracle の場合には障害時の復旧が難しく、業務の再開までに時間がかかってしまいます。SharePlex を使用して、異なるシステムに常時データが複製されていて、いざという時に簡単に切り替えられるのは、安心感が違います。」と管理システム部 部長 比佐氏は評価する。
また、本社の移転に合わせた新たなデータ保護の構築は待ったなしというコンセンサスが役員の中であり、提案から実際に稼働するまでを短期間で実施する必要があった。「SharePlex」は既存のデータベース環境に大きな変更を加えることなく導入可能である点も大いに評価されており、「SharePlex」に出会ってからすぐに導入が決定。実際にプロジェクトが開始してから3か月で本番稼働を迎えることができた。
結果的に、当初の目標としていた災害時の復旧時間について要件を満たせるようになっただけでなく、短期間で費用対効果の高いソリューションを導入することができた。
導入の効果
データの高速バックアップ用途にとどまらない、導入メリット
「SharePlex」の導入は、マルトのシステム要件を充たすだけではなく、さまざまなメリットをもたらすこととなった。
- 複製先が常に使用できる状態にある
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単なるデータのバックアップとしてだけではなく、複製先を活用できるソリューションであり、万が一運用系がダウンしてしまった場合でも、アクセス先を切り替えるだけで複製先にそのまま書き込みすることが可能。
- 最小限のデータトラフィックを実現
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「SharePlex」は、データの更新情報のみをテーブル単位で転送することが可能であり、結果として最小限のデータトラフィックによる通信を実現。同一ネットワーク上で稼働中の他の業務へ影響を与えることなくデータベースのリアルタイムレプリケーションを実現。
- Oracle の異なるバージョン、異なるエディションで利用可能
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昨今はサーバーの CPU 自体がマルチ Core 化していることもあり、1CPU ソケットもしくは2CPU ソケットのマシンでも十分な性能を発揮。そのため、今回 Oracle9i から11gR2へのバージョンアップに際し、Oracle は Standard Edition を採用しているが、ことレプリケーションソフトウェアに関しては Enterprise Edition のみサポートとなっている場合が多い。そのような中、「SharePlex」は Standard Edition でも利用でき、リーズナブルな導入費用で済むことができた。
「ベストマッチでした。古い Oracle9i の処理が遅くなっていたところに、Oracle11gR2 へのバージョンアップをしたタイミングで、長年の課題であったディザスタリカバリ対策を短期間かつ高いコストパフォーマンスで導入することができました。」と管理本部 専務取締役 副本部長 兼 財務本部 本部長 森田氏は当時を振り返る。
将来展望
高可用性でありながら柔軟性のあるシステム運用の構築へ
今回の稼働開始時には、新社屋の免震構造を持ったサーバールーム内の2台のサーバー間で利用開始するが、将来的には地域的な災害が発生した際への対策として、複製先を遠隔地のデータセンター内のサーバー等へ行うことを検討している。
また、今回の導入をきっかけに準基幹系と呼ばれる他のサーバー群についても、Oracle が稼働しているサーバーについては「SharePlex」をすべてに活用していきたいとしている。
顧客情報
顧客名 | 株式会社マルト |
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設立 | 1964年10月 |
所在地 | 福島県いわき市勿来町窪田十条3-1 |
事業概要 | 福島県いわき市に本社を置く株式会社マルトグループホールディングス (以下、マルト) は、スーパーマーケット (食料品) を中心に、くすり (医薬品/調剤薬局) や総合衣料など、多岐にわたる事業を行っている。そのシェアはいわき市において50%、日立市において30%を超えるなど、ドミナント戦略により、地域のお客様に根差した店舗を展開している。 マルトは、お客様に選ばれて成長してきた企業として、地域のライフラインを守るという使命を持っている。そのため、放射能測定の自主検査を実施したり、マルトグループのマルト惣菜工場が食品安全マネジメントの ISO22000を取得するなど、流通経路から販売までの食の安全を追求。また、地域貢献としての食育推進室を展開し、環境 ECO への取り組みも積極的に行っており、お客様とともに、環境にやさしい地域一番店を目指している。 |
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この記事は2012年4月に取材した内容をもとに構成しています。記事内における数値データ、組織名、役職などは取材時のものです。