事例紹介
日常健康見守りサービス® 導入事例 「中日臨海バス株式会社」
従業員のバイタルデータを収集して、健康管理の促進を目指す
導入ソリューション:従業員の健康をクラウド + IoT でサポート「日常健康見守りサービス®」
中日臨海バス株式会社は三重県 (四日市市)、大阪府 (堺市)、神奈川県 (川崎市、海老名市)、東京都 (品川区)、千葉県 (船橋市) に拠点を置き、従業員輸送、観光輸送を主なサービスとして展開しています。
常に先進的な取組みを行い、業務の健全化および効率化を目標に以下のシステムの導入を実践してきました。
・デジタルタコグラフを導入 (1996年)
・ドライブレコーダーを導入 (2006年)
・従業員管理、労務管理、顧客管理システムを構築 (適正診断結果や教育記録も登録: 2013年)
・「日常健康見守りサービス」を導入 (2016年)
課題
事業を継続するためには従業員の健康管理が欠かせないが、年2回の健康診断だけでは日々の従業員の健康状態を把握することができず、日常的かつ細やかな健康管理を継続的に行う必要があった。
解決
各種のバイタルセンサーから従業員の日々のバイタルデータを収集・管理することで体調異常や予兆を早期に把握すると同時に、健康状態や疲労度にあった適切な労務管理を実施することにより、従業員の健康維持・向上につながっている。
導入の背景
健康管理の取り組みをしていたが「突然死」は起きた

左: 代表取締役 森川 道博氏
右: 取締役営業本部長 荻野 進氏
中日臨海バスでは従業員の健康管理に関して次のような取り組みを実践していた。
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健康診断を年2回実施
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採用試験時に簡易脳ドック (MRI/MRA) 受診、睡眠時無呼吸症候群 (SAS) 検査を義務化
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簡易脳ドック (MRI/MRA) 受診を全従業員が実施。 (3年に1回)
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睡眠時無呼吸症候群 (SAS) 検査を全従業員が実施。 (3年に1回)
こうした対策をとっていたにも関わらず、過去5年間に脳疾患及び心臓疾患が原因で3名の乗務員が亡くなるという事態に見舞われた。
幸い3名とも休憩中や交代後など走行中ではないときに意識を失ったため大事故には至らなかったが、ほんの数分前まで運転中だった乗務員もいた。 走行中に乗務員が意識を失ってしまった場合、既に報道されているような大惨事を招く恐れがある。
万が一、事故を引き起こしていたら当社の事業継続は危機的な状況になっていた可能性もある。 3名が亡くなられたことは、健康管理を真剣に考えなければならないと言うことを教えて貰ったと思っています。 (森川氏)
導入の経緯
「日常健康見守りサービス」導入のきっかけは損害保険会社
同社はこのような状況を受け、健康管理=事業継続と考えるに至った。
病気だけはどれだけ予防していても、医師ですら、それがいつ発症するかわかりません。 当社では健康管理を、従業員本人を守るための礎として考えており、会社を、ひいてはお客様を守るためのリスクマネジメントの一環と考えました。
と振り返るのは森川氏。
内製のアプリケーションで従業員の勤務シフトや運転時間などの労務管理や各種の健康診断結果の管理を行い、医師による健康改善の指導も受けるようにしたが、乗務員の健康状態は全く改善しなかったという。

代表取締役 森川 道博氏
そのような中、国土交通省 中部運輸局の技術部長から「事業用自動車の運転手の健康管理マニュアル」の施行状況の確認を行いたいという申し入れがあった。
「事業用自動車の運転手の健康管理マニュアル」は、国土交通省が2014年4月に発行したマニュアルで、事業用自動車の運転者の体調急変に伴う健康起因事故を抑止するため、定期健康診断により疾病を把握し、さらに乗務前点呼において安全に乗務できる健康状態かを判断すると共に、平素からの健康状態の把握と、働く人それぞれの状況に応じたきめ細やかな労務管理を事業者に求めている。
発行から1年半が経過した2015年10月、同社の健康管理への積極的な取り組みが評価され、施行状況の調査対象として選ばれた。
同社の取り組んでいた労務管理や診断結果の管理は中部運輸局から高評価を得たが、それらと同時に日々の健康管理も実施したほうがよいというアドバイスがあったという。
同時期に損害保険ジャパン日本興亜(株)および損保ジャパン日本興亜リスクマネジメント(株) (現 SOMPO リスケアマネジメント(株)) から紹介されたのが、東芝情報システムが提供する「日常健康見守りサービス」だった。
導入の効果
「見える化」により健康改善のための具体的な目標設定が可能になった
健康診断は年2回実施していますが、それだけではその時点の結果しか見えていません。 しかし「日常健康見守りサービス」を利用して点呼時に日々データを取得するようになり、バイタルデータ(睡眠時間、歩数、血圧、体温、体重)を点の情報ではない、継続的な情報として確認できるようになりました。 集積したバイタルデータの平均値や上限、下限を含めた推移を見ることができ、個人ごとの傾向を見て生活習慣病改善のための食事療法や運動指導をするのに役立っています。
と荻野氏は評価する。
同社では更に健康管理の内製化を実現するため、2016年4月から管理栄養士を社員として新たに雇用している。 今後は産業医や管理栄養士と連携して、社員一人ひとりにとって適切な目標値を設定した上で、健康改善を進められるようになったことが重要なポイントだという。 そのためには日々のバイタルデータを蓄積しておくことが必要不可欠であるというわけだ。

取締役営業本部長 荻野 進氏
「日常健康見守りサービス」などの活用を進めながら社会に認められるようになり、お客様にそれならば安心して任せられると思っていただければ、それだけ会社の収益にもなります。 健康管理ばかりやっていて、給料が少ない、ルールが多いでは従業員も納得しないので従業員へも利益を配分する、将来はそういうことも考えていかなければならないと考えています。 (森川氏)
さらに、「日常健康見守りサービス」の導入は、単に日常健康管理による疾病予防・過労防止という側面だけではない。 同社では、万が一、運転者の健康状態に起因する事故が起きた場合でも、説明責任が果たせる体制をとることの必要性を感じているという。 背景には事故が頻発し、運輸業界に一層の安全対策や労務時間基準の遵守が求められている現状がある。
何かあったときでも、こういう検査をして、結果こうでした、普段の健康管理に関しては管理栄養士もいて、食事のこともこのように指導していますと、我々はそういう所まで持っていきたい。 従業員ごとに体重の目標値も設定して、それに対して日々データも取っていますと説明出来るようにしたいと考えています。
と森川氏は語る。

今後の活用
「安心と安全を売る会社」として認知されることを目指す
国土交通省中部運輸局のホームページに「データヘルスの取組事例」として同社の健康管理の取組みが掲載されている。 このように他社に先駆けた取り組みとして紹介されることについて、
他の会社に紹介されればされるほど、我々は気を引き締めていかなければならないと感じています。 そういう PR をして貰うことにより、自分自身にも足かせをかけて、もっと高度な健康管理が出来るように日々色々な所から情報を集めていかなければという思いがあります。
と森川氏。
バイタルデータを継続して取得していれば、その人の傾向値がわかってきます。 例えば蓄積したデータの統計値と当日の血圧の値が10%違っていればアラートがでるような仕組みを作っておけば体調不良などがわかり易くなるのではと考えています。 こういう取り組みから中日臨海バスは「安心と安全を売る会社」で、送迎するのみの会社ではないと認知されるようにしたいです。 安心と安全を提供出来る会社であり、その会社が使う道具がたまたまバスでありますよと言うだけです。 (森川氏)
目指す姿を実現するために、同社では「日常健康見守りサービス」に蓄積されたデータをどう分析すれば健康維持に必要な情報が取り出せるかということも検討しており、サービスの実現に期待を寄せていると森川氏は語った。
顧客情報
顧客名 | 中日臨海バス株式会社 |
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設立 | 1946年4月9日 |
代表者 | 代表取締役 森川 大興 |
所在地 | 三重県四日市市海山道3丁目80番地 |
事業内容 | 一般貸切旅客自動車運送事業 車輌運行管理業務事業 自家用自動車有償貸渡事業(レンタカー・カーリース) 普通自動車分解整備・板金塗装事業 自動車販売事業(新車部門、中古車部門) 旅行業(第2種) 不動産管理事業 |
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導入プロダクト |
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この記事は2016年5月に取材した内容をもとに構成しています。 記事内における数値データ、組織名、役職などは取材時のものです。